「シンクライアント」というのは、リモートデスクトップ接続専用のデバイスのことです。
”揮発性”シンクライアントは、パソコンと「Live USB」を使って作られたシンクライアントです。
シンクライアントの経済性と安全性、さらに、OS自体が消えてしまう鉄壁なセキュリティーを持っています。
リモートデスクトップはもともとセキュリティーの高いシステムですが、それにさらなる鉄壁のセキュリティーを加えたリモートデスクトップ・クライアントです。
“揮発性”シンクライアントとは
シンクライアントとは
シンクライアントとは、英語の”Thin Client”。リモートデスクトップ接続に特化した、ストレージを持たない、低スペックのコンピューターのことです。
リモートデスクトップ接続専用端末です。
リモートデスクトップ接続にはパソコンを使うこともできますが、リモートデスクトップ接続に限るなら、オーバースペックです。
自由にソフトウエアをインストールできることも、逆に、脆弱性に繋がります。
一般にパソコンはウイルスにかかったりもします。
シンクライアントはリモートデスクトップ接続にしか使えない代わりに、低スペックで消費電力が少ないハードウエアで構成されます。
HDDなどのストレージもいりません。
ウイルスソフトなども必要なく、価格も抑えられます。
シンクライアントはリモートデスクトップ画面を表示することに特化したネットワークデバイスです。
「Live USB」とは
パソコンをシンクライアント化するために、”Live USB”を使います。
“Live USB”は、ハードディスクやSSDなどのストレージを使わずに、USBメモリから起動するOS(オペレーティングシステム)です。
“Live USB”の一般的な用途は、起動できなくなったパソコンの修復などです。
“Live USB”から起動して、既存のハードディスクを修復するような使い方をします。
“Live USB”にリモートデスクトップ・クライアントのアプリケーションを組み込んだものが、”揮発性”シンクライアントです。
“揮発性”シンクライアントとは
「揮発性」の意味は、「OSやリモートデスクトップ・クライアントアプリケーションが、パソコンから消え失せる」ということです。
“揮発性”シンクライアントで使う”Live USB”は一般的な”Live USB”ではありません。
起動時にすべてのシステムをUSBメモリからパソコンのメインメモリにコピーし、メインメモリ(RAM|揮発性メモリ)から起動します。
なので、一度起動すれば、”Live USB”の「USBメモリ」は、不要になります。
パソコンから抜き取って構いません。
パソコンのメインメモリの別称は「揮発性メモリ」です。
スイッチを切る前に、メインメモリ上のデータは、ハードディスクなどの不揮発ストレージにコピーされて、スイッチを切ると、メインメモリのデータは消えてしまいます。
この原理で、”揮発性”シンクライアントも、パソコンに電源が供給されている間は、メインメモリ上に保持されたシステムで動作し、スイッチを切るなどして電源を失うと、メインメモリ(RAM|揮発性メモリ)から消失します。
OS(オペレーティング・システム)自体がメインメモリ上にあるので、OSもろとも、すべてのデータがパソコンから消え去ります。
電源が切れた時点で、アクセス履歴など、一般的なパソコンには保存されるデータ、一切が、パソコンから消失します。
そのパソコンがリモートデスクトップにアクセスしていたことすら残りません。
“揮発性”シンクライアントの特徴
デスクトップパソコンで使用することもできますが、「モバイルパソコン」での使用が理想的です。
「屋内」では、社内や自宅のWifiに接続し、「外」ではスマートフォンのテザリングやポケットWifiにつないで、リモートデスクトップで社内のデータを閲覧します。
使用しないときは、リッド(蓋)を閉じてスリープさせておけば、バッテリーが続く限り継続して使用できます。
リッドを閉じて持ち歩き、移動先でリモートデスクトップに接続。
バッテリー切れになる前に、充電できれば、メインメモリにあるシンクライアントは電源が供給される限り保持されます。
“揮発性”シンクライアントのメリット
- ハードディスクなどのストレージが無い(取り外している)ので、少電力(バッテリー長持ち)
- OSがハードディスクやSSDよりも格段に高速なメインメモリ上で動くので、低スペックのパソコンでもサクサク動く
- 端末を紛失しても、バッテリーの消耗とともにパソコン内のシステムは消失する(情報漏えいしない)
“揮発性”シンクライアントの用途
セキュリティーや情報漏えいにシビアな業務に適しています。
保険営業や医療関係など、個人情報を扱うような場合の、情報漏えい対策として使うことができます。
外室先はもとより、屋内でも、リモートデスクトップと合わせて使うことで、端末にデータが残りません。
データは厳重に管理された場所にあるサーバー上から、出ることがありませんので、極めて安全性が高いと言えます。
”揮発性”シンクライアントでリモートデスクトップするサンプル動画
”揮発性”シンクライアントでリモートデスクトップするYoutube動画を作りましたので、参考にしてください。
まとめ
- ”揮発性”シンクライアントはリモートデスクトップ接続に特化した”Live USB”
- ”揮発性”シンクライアントは、端末内にデータを残さないので、セキュリティーが高い
- ”揮発性”シンクライアントは、メインメモリ上で動くので高速
- ”揮発性”シンクライアントは、消費電力が少ない
- ”揮発性”シンクライアントは、個人情報を扱うようなシビアな業務に適している